【中医学解説】ドライアイ(神水将枯)
概要
ドライアイ(乾眼症)は、現代医学においては涙液の不足あるいは質的異常によって角結膜が乾燥し、不快感や視機能の障害を引き起こす疾患とされる。症状は乾燥感、異物感、灼熱感、かすみなど多岐にわたる。発症要因としては、加齢、VDT作業の増加、環境要因、コンタクトレンズ使用、自己免疫疾患などがある。
中医学では本疾患を「白涩症」「神水将枯」などに相当するものとして捉える。病理の中心は津液、肝血や腎陰の不足による目の滋養失調にある。また、肺は「華蓋」と称され上焦の津液を主るため、肺陰不足も目の乾燥に関与する。加えて、外感邪熱の余熱が残留し津液を損傷する場合、あるいは脾胃の熱が津液生成を妨げる場合にも発症する。したがって、本疾患の病機は「本虚標実」であり、基本は陰液不足(虚証)であるが、時に鬱熱や実熱の要素を兼ねる。
弁証類型
肝腎陰虚
肝血と腎陰の不足により目を潤養できず、乾燥、かすみ、視物不清、腰膝酸軟、耳鳴などを呈する。舌質紅で苔少、脈細数を示す。治法は滋補肝腎・養陰明目を基本とする。
肺陰不足
肺の陰液が損耗して上焦の津液が不足し、目の乾燥が生じる。咽乾、乾咳、皮膚乾燥を兼ねることが多い。舌質紅、苔少、脈細数。治法は養陰潤肺・生津止渇。
気陰両虚
長期の病後や慢性消耗により気と陰がともに不足し、目の乾燥とともに倦怠感、息切れ、食欲不振を伴う。舌質淡紅、苔少、脈虚細無力。治法は益気養陰。
肝鬱化火
情志不遂により肝気が鬱滞し熱化して目を灼く。乾燥に加えて充血、腫れ、灼熱感、易怒、口苦などを呈する。舌質紅、苔薄黄、脈弦数。治法は疏肝清熱・瀉火明目。
邪熱留恋
急性炎症や感染の後に余熱が残り、陰液を損傷して目の乾燥が持続する。軽度の充血や異物感を残すことが多い。舌質紅、苔薄黄、脈細数。治法は清熱除煩・養陰潤燥。
脾胃実熱
飲食不節や過度の辛辣・油膩の摂取により脾胃に熱がこもり、津液の生成が阻まれて目が乾燥する。口臭、便秘、口苦を伴う。舌質紅、苔黄膩、脈滑数。治法は清胃瀉火・生津潤目。
